うちかもしれんが盛大に違うかもしれん…が、
疑うなら攫えばいいじゃんと
誰かがさらりと言ったので
その時が来たら是非とも発注は眼鏡の花屋さんに!
そんなアモロのお花屋さんの妄想。
生まれたてのお子様を独白口調で弄り倒す御無礼を御許し下さい…!
◆
【早朝4時】
仕入れの為に市場と契約農家へ赴く。荷馬車代わりのロバは今日も元気。
あれだけの花を乗せても平気なのだから、と、試しに自分が乗ったら
不満そうな鳴き声を発し、立ち上がらなかった。動物は正直だ。少し傷付く。
【早朝6時】
今日の仕入れは満足のいくものが多かった。
…正確には自分の満足であり、店にとっては結構な痛手を被る事にもなったが。
滅多にお目に掛かれないシラサギソウの鉢植えが一鉢…それも見事な群生の鉢で。
同業者の目の色が変わるのが傍目にも分かった。自分も相当興奮したかもしれない。
予算と競り値で嫌な汗が出たが、競り落とした時の周囲のどよめきは
今でも耳の奥に残響として存在している。これは売れ残っても構わない。
ささやかな贅沢だと思えば…まぁ当分、食生活は質素になりそうだが…。
【午前8時】
定番となっている炙ったライ麦パンと片目焼きの朝食を済ませ、開店準備に掛かる。
今日は勿論、先程仕入れたばかりのシラサギソウを店頭に…と、思ったが
店の前を時折通る馬車や、分厚い甲冑や長い武器を抱えた冒険者の事も考え、
中央の切花スペースに台を設置し、咲き誇るアーモロードの花々を眼下に飛ぶ
優雅な白鷺をイメージしてみた。…しかし落ちつかない。
というか”浮く”。すごく。
…やはりこれは、表に出すよりもひっそり片隅で楽しんだ方がよい事を確認した。
【午前10時】
仕入れた花の華やかさに反するように、今日はやけに墓前向けの花に注文が集まる。
開店から1時間で既に3件。中でも昨晩ギルドのリーダーを失い、つい先程解散手続を
申請してきたという若者達の辛そうな表情には、毎度ながらやり切れなさを感じる。
彼等の背中が小さくなるまで軒先に立ち、その傷がいつか癒える事を願った。
現在の比率は祝い事2:墓前向け3:普段使い1。
店の前を通り過ぎる人々を時折眺めながら、鉢植えの手入れをする。
何故か落ちつかない。墓前用の花ばかりが出る陰気くさい花屋だとは思われたくない為、
鼻歌混じりに鮮やかなアレンジメントを作成。我ながら会心の出来だとニッコリ笑うが、
背中に視線を感じ、そのまま振り向く。…お客が来ている事に気付かず、失礼をした。
「すみません、お仕事中に」と、蜂蜜色の長い髪の子(声からして男の子?)が
此方に謝り、隣に居た背の高い男が「そこは謝る所じゃない」と呆れている。
…この辺では見ない顔だが、冒険者だろうか。非礼を詫びるべく慌てて軒先に飛び出そうとして
バケツを足に引っ掛けて転倒。それだけならまだしも、「あの種」が入った筒を
うっかり地面に落とし、それが金属音を立てて転がる様子を見て血の気が引いた。
ばさばさした稲穂の様な髪と、目よりも少し下にずれた眼鏡をかけた男の足に当たり
筒はようやく止まる。少年の方を見ながら失笑する男が筒を拾って此方に渡してくれた。
「あぁ、良かった、それはちょっと扱いが」
…言い掛けた瞬間、最悪の事態に気付く。
『蓋が、ない』
◆
一旦ここまで…というか
重大な事に気付いて急ブレーキ。
チェイスやギルドフリーの範囲ってどういう定義なんでしょうか…
「自ギルド外の登場人物として絡ませる」のが通常使用であって、
主観はマズいんじゃ…
…最も血の気が引いたのは己です。すみません。後程午前10時編から俯瞰に変換致します。
(しかし消すのが勿体無いので、申し訳ありませんが暫らくの表示を御許し下さい)※追記:親御さんから御連絡と許可を頂きました…ありがとうございます…!
版権表記を致しますと、今回の主観の主は
Calendula様宅の”お花屋さん”ことドルナーさんです。
みつかさん宅の皆さんはどなたも個性が際立っていて「世界」があるのですよ。大好きです。
この先も、何かがあったら花を買いに行かせて頂いたり、街角で見かけたメンバーチェイスとか
…なんかやらかしたら申し訳ありません…世界樹創作のサンクチュアリなのに…